丸石製薬株式会社

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医療関係者向情報サイト 医療ナレッジ 感染症情報 レジオネラ症

概要1)SUMMARY

レジオネラ症(legionellosis)は、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)を代表とするレジオネラ属菌による細菌感染症です。主な病型は、重症の肺炎を引き起こすレジオネラ肺炎と、一過性で自然に改善するポンティアック熱です。レジオネラ肺炎は、1976年、米国フィラデルフィアにおける在郷軍人集会(Legion)で集団肺炎として発見されたところから、在郷軍人病(legionnaires’ disease)と命名されました。一方、ポンティアック熱は、1968年に起こった米国ミシガン州ポンティアック(Pontiac)における集団感染事例にちなんで命名されました。

感染症法上の四類感染症に分類されており、全数報告対象です。

1. 微生物

レジオネラのイメージ図
(CDCホームページ2)
レジオネラ属菌はグラム陰性桿菌に分類されます。
本来、レジオネラ属菌は、土壌、河川、湖などの自然界に生息している細菌です。しかし、冷却塔、給湯設備、循環式浴槽などの内部にも、細菌捕食性原虫(アメーバや繊毛虫)に寄生し増殖しています3)。そのため、循環式浴槽などで、レジオネラ属菌を含むエアロゾルの吸入により集団発生する例が報告されています。

2. 感染症

症状

レジオネラ肺炎の潜伏期間は2~10日です。全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られるようになります1)。そのほか、傾眠、昏睡、幻覚、四肢の振せんなどの中枢神経系の症状や下痢や腹痛などの消化器症状がみられるのも特徴です。急変することもあるので、早期診断・治療が重要です。

ポンティアック熱の潜伏期間は1~2日です。突然の発熱、悪寒、 筋肉痛が主な症状ですが、一過性で自然に治癒します。
高齢者や新生児は肺炎を起こす危険性が通常より高いので、注意が必要です1)。また、大酒家、喫煙者、透析患者、移植患者や免疫機能が低下している人は、レジオネラ肺炎のリスクが高いとされています1)

治療等

レジオネラ肺炎はレジオネラ属菌による細菌感染症なので、マクロライド系、ニューキノロン系やリファンピシン等の抗菌薬で治療することができます1)

3. 感染経路

冷却塔水、加湿器や循環式浴槽などで、レジオネラ属菌を含むエアロゾル吸入により感染します。エアロゾル感染以外に、温泉浴槽内や河川で溺れた際に汚染された水を吸引・誤嚥したことによる感染事例が報告されています1)。災害時のがれき撤去時などに土埃で感染することもあります。

4. 消毒剤感受性

塩素消毒が有効です4)

感染対策INFECTION CONTROL

感染防止対策

エアロゾル吸入による感染、汚染された水の吸引・誤嚥による感染や土壌からの感染が考えられます。
通常、ヒトーヒト感染を起こすことは多くありませんが、<2. 感染症>で記載した感染リスクの高い人は特に二次感染に気を付けましょう。

レジオネラ症施設内感染防止対策ポイント1,4,5)

クーリングタワー
(冷却塔)
塩素(5~10ppm)や2~4%の過酸化水素を2~3時間循環させます。
シャワー設備 シャワー内部に水が滞留しないように、少なくとも週に1 回、内部の水が置き換わるように通水します。シャワーヘッドとホースは6か月に1回以上点検し、内部の汚れとスケールを1年に1回以上洗浄、消毒します。定期的にレジオネラ属菌検査を行って、不検出を確認することが推奨されます。
加湿器 毎日水を入れ替えて容器を洗浄します。
浴槽水 塩素系薬剤を使用し、浴槽水中の遊離残留塩素濃度を頻繁に測定して、通常0.4mg/L程度を保ち、遊離残留塩素濃度は最大1.0mg/L を超えないように努めます。
毎日完全に換水して浴槽を清掃します。難しい場合でも、1週間に1回以上完全に換水して浴槽を清掃、消毒します。

関連リンク

〈厚生労働省ホームページより〉
〈国立感染症研究所ホームページより〉

参考資料

2024年2月