消毒NAVI
超音波プローブ
超音波プローブの消毒方法
超音波プローブの消毒法は、プローブの種類によって異なる。すなわち、無菌組織に触れるもの、粘膜や損傷皮膚に触れるもの、または正常皮膚にのみ触れるもので異なってくる。以下に汎用プローブの消毒法について述べる。
経食道心エコープローブ1-7)
セミクリティカル器材であり、高水準消毒が望ましい。2%グルタラールやフタラールへの10分間浸漬で対応する。この際、消毒後の十分なすすぎが必要である。また、フタラールでは消毒前の汚れの除去にもとくに注意を払いたい。汚れが残ると、その汚れにフタラールが強固に結合して、たとえ消毒後のすすぎを行ってもフタラールが残留してしまうからである。
この他、一部のプローブでは0.1%（1,000ppm）次亜塩素酸ナトリウムへの30分間浸漬でも対応可能である。
なお、消毒後のプローブであっても、使用時には専用のプローブカバーを用いるのが望ましい。プローブに消毒薬が残留していたとしても、プローブカバーで消毒薬の粘膜付着が防止できる。
経腟プローブ8-12)
セミクリティカル器材であり、とくにヒトパピローマウイルスの汚染が問題となる。一方、ヒトパピローマウイルスにはアルコールが効きにくい。したがって、本プローブの消毒にはヒトパピローマウイルスにも有効な高水準消毒薬での対応が望ましい。2%グルタラールやフタラールへの10分間浸漬を行う。
なお、消毒後のプローブであっても、使用時には専用のプローブカバーの使用が望ましい。
体表用プローブ
正常皮膚のみに触れるプローブはノンクリティカル器材である。これらのプローブの消毒は、消毒用エタノール、0.2%ベンザルコニウム塩化物、および30vol%程度のアルコールを含有するアルコール・界面活性剤含浸ワイプなどでの清拭で対応する。
なお、会社によっては、自社のプローブに対する使用可能な消毒薬一覧を掲載したプローブ洗浄・消毒・滅菌ガイドを作成している13)。
引用文献
- 1) Carrico RM, et al: Ultrasound probe use and reprocessing: Results from a national survey among U.S. infection preventionists. Am J Infect Control. 46: 913-920, 2018.（PMID: 29866632）
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- 3) de Souza Hajar K, et al: Infection transmission associated with contaminated ultrasound probes: A systematic review. AORN J. 115: 42-51, 2022.（PMID: 34958475）
- 4) 桑田知之：超音波検査と滅菌，消毒．周産期医学．45: 1350-1351, 2015.
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- 9) Ozbun MA, et al: Infectious titres of human papillomaviruses (HPVs) in patient lesions, methodological considerations in evaluating HPV infectivity and implications for the efficacy of high-level disinfectants. EBioMedicine. 63: 103165, 2021.（PMID: 33422988）
- 10) Nyhsen CM, et al: Infection prevention and ultrasound probe decontamination practices in Europe: a survey of the European Society of Radiology. Insights Imaging. 7: 841-847, 2016.（PMID: 27778309）
- 11) 石幡理絵：産婦人科の徹底ポイント6．INFECTION CONTROL. 30: 678-682, 2021.
- 12) 公益社団法人日本超音波医学会．機器及び安全に関する委員会：経腟プローブの取扱いに関する注意．
https://www.jsum.or.jp/committee/uesc/pdf/prove_care.pdf - 13) 超音波診断装置用プローブ洗浄・消毒・滅菌ガイド．キャノンメディカルシステムズ株式会社．2021年4月発行．
https://ultreatment.app.medical.canon/wp-content/uploads/2021/07/2B702-067EN-T_jp.pdf