消毒NAVI「トイレ」
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トイレ
現場でお困りの消毒方法について、尾家 重治先生（山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部 教授）に解説していただきました。
なお、器具・物品や消毒剤等の取り扱いにつきましては、各製品の取扱説明書等をご確認ください。
トイレの消毒方法
洋式トイレの便座、フラッシュバルブ、ドアノブなど
洋式トイレの便座の消毒には、センサー部分（黒色のパネル箇所）を除いて、消毒用エタノールでの清拭が適している。センサー部分はアルコールによる劣化が生じるので、消毒用エタノールでの清拭は避け、30vol%程度のアルコールを含有する素材適合性に優れたアルコール・界面活性剤含浸ワイプを用いる。また、フラッシュバブルやドアノブは消毒用エタノールでの清拭が適している。床や壁は目に見える汚れが付着している場合には、汚れを除去後に、素材への影響も考慮して、0.1％（1000ppm）次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノール、30vol%程度のアルコールを含有する素材適合性に優れたアルコール・界面活性剤含浸ワイプなどを選択する。
なお、クロストリディオイデス・ディフィシル（CD）毒素陽性患者が使用後の便座の消毒には、0.1％（1,000ppm）次亜塩素酸ナトリウムによる清拭を選択する1-3）。CDの芽胞にはアルコールが無効だからである。
また、ノロウイルス胃腸炎患者が使用後の便座にも、0.1％（1,000ppm）次亜塩素酸ナトリウムでの清拭が望ましい4-5）。なぜなら、ノロウイルスに対するアルコールの効果はやや劣るとのデータがあるからである。一方、消毒用エタノール清拭では拭き取り効果が期待できるうえに、2度拭き（清拭して15秒間ほど経過後に再び清拭）を行えばノロウイルス汚染にも対応できる6-13)。とくにノロウイルスに対して効力を高めたアルコール製剤を用いれば、より効果的である13)。フラッシュバルブやドアノブなどの消毒も便座と同様に対応する。
なお、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒では、本薬が汚れ（有機物）で大幅な効力低下を示すことから、前もっての汚れ（有機物）の除去が大切である。また、本薬は金属腐食性を示すことから、金属部分への適用では、10分ほど経過後に水拭きやアルコール拭きが必要になる。
尿、便、吐物
糞便は腸管出血性大腸菌やサルモネラ菌などのみならず、ノロウイルスやCDの芽胞などで汚染を受けている可能性がある13-15）。また、吐物はノロウイルスなどで汚染を受けている可能性がある13）。したがって、尿・糞便や吐物で汚染を受けた環境の消毒には、広範囲抗菌スペクトルを示す次亜塩素酸ナトリウムが第一選択消毒薬となる2, 16-18)。汚れ（糞便や吐物など）の除去後に、0.1％（1,000ppm）次亜塩素酸ナトリウムでの清拭を行う。より確実な効果を得るため、2度拭きが望ましい。この際に、次亜塩素酸ナトリウムの泡状製剤を用いると簡便に消毒が行える。
引用文献
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