消毒NAVI「血圧計のマンシェット」
医療関係者向情報サイト 医療ナレッジ 消毒NAVI 血圧計のマンシェット
現場でお困りの消毒方法について、尾家 重治先生(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部 教授)に解説していただきました。
なお、器具・物品や消毒剤等の取り扱いにつきましては、各製品の取扱説明書等をご確認ください。
血圧計のマンシェットの消毒方法
マンシェットの消毒法としてアルコール(消毒用エタノール)清拭があげられます(図1)1)。ただし、布製のマンシェットではアルコール清拭して次回使用までに30分間ほどの乾燥が必要になります。
なお、布製マンシェットのより確実な消毒法として洗濯があげられますが、材質劣化の防止の観点から頻回の洗濯は勧められません。
このほか、使い捨てのマンシェットが発売されています。
マンシェットの微生物汚染を調べてみると・・・
血圧計のマンシェットは、洗浄や消毒を行わずに共用されていることが少なくありません。このため、マンシェットはメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)やMRSAなどでの高濃度汚染を受けていることがまれではありません。
Giallulyらによると、203サンプル中20サンプル(13%)がMSSAやMRSA汚染を、Walkerらによると、24サンプル中9サンプル(37.5%)がMSSAやMRSA汚染を受けていました2,3)。われわれの調査でも、58サンプル中35サンプル(31.4%)がMRSA汚染を受けており、これらの35サンプル中1サンプルはマンシェット1枚当り5.8×104生菌数ものMRSA汚染を受けていました(図2)4)。
参考資料
- 1) Davis, C: Blood pressure cuffs and pulse oximeter sensors: a potential source of cross-contamination. Australas Emerg Nurs J, 12: 104-109, 2009
- 2) de Gialluly C, et al: Blood pressure cuff as a potential vector of pathogenic microorganisms: a prospective study in a teaching hospital. Infect Control Hosp Epidemiol, 27: 940-943, 2006【IC12681】
- 3) Walker N, et al: Blood pressure cuff: friend or foe? J Hosp Infect, 63: 167-169, 2006【IC10543】
- 4) Matsuo M, et al: Contamination of blood pressure cuffs by methicillin-resistant Staphylococcus aureus and preventive measures. Irish J Med Sci, 182: 707-709, 2013