丸石製薬株式会社

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菌の分類からお話ししますが、何のために分類するのでしょう。分類とは、性質の似た者同士をひとまとめにして、整理することであり、理解を助けるために行う行為です。したがって、細菌の分類も実はとても役に立ちます。ところが、だれの役に立つかというと、学術的な分類法は主に研究者の理解に役立つもので、必ずしも学習者の理解にはつながるものではありません。そこで、私の独断と偏見で考案したのが「金子の分類」です(図1)。
自筆のオリジナルキャラクター「バイキンズ」を用いた分類になっており、メインキャラは、皇族系、庶民系、モンスター系、異星人系の4系統に分類されます。今後、主に感染対策という視点で展開しますので、各論では出てこないキャラたちもご紹介しておきます。

図1. 金子の分類
メインキャラの4系統を示しています。
上段はグラム陽性菌、下段はグラム陰性菌。

■バイキンガム宮殿のロイヤルファミリー

肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマと言えば、言わずと知れた肺炎の3大原因菌ですね。それぞれ、ハイエンキューキン王、インフルエンザキン XV じゅうご 世女王、マイコプラズマ姫、つまり、バイキンガム宮殿のロイヤルファミリーです(図2)。

図2. 高貴な皇族系細菌
食事も、「血液寒天」、「チョコレート寒天」、「ウマ血清+サプリメント入り(PPLO)」と贅沢なのが特徴です。

これらの細菌の特徴を一口で言うなら、「贅沢で、か弱い」ということです。呼吸器系は、いわば宮殿のようなところで、特に、栄養も、温度も、湿度もとても快適な環境です。それゆえに、贅沢なロイヤルファミリーがぬくぬくと育ちます。しかしながら、ひとたび、「クシュン」「ゴホン」と宮殿の外に飛び出るとどうでしょう。たちどころに弱ってしまいます。宮殿の外で育てるには、特殊なご馳走やおやつ(培地)が必要になります。
まず、王様の食事は血液寒天です。なんかちょっと怖そうなご馳走ですね。一方、女王様のおやつはチョコレート寒天です。こちらはなんとなくおいしそうですね。といっても、チョコレートが入っているわけではありません。肺炎球菌の場合、血液(赤血球)を自分で溶かすことができるので、血液そのものでよいのですが、インフルエンザ菌は自分で溶かすことができないので、溶かしてもらっているのです。たとえるならば、「みかんの皮をむいてあげなければ食べない」ような感じです。とても過保護ですね。XVにもきちんと意味があって、X因子とV因子が必要であるためです。X因子とV因子は、赤血球の中にある、ヘミンやNADHといった栄養素です。最後に、マイコプラズマ姫ですが、ウマの血清とサプリメントを配合した特別食、PPLOという培地が大好物です。
「尿路感染症の原因菌を列挙しなさい」という質問に対して、肺炎球菌を最初に挙げる学生が時々いますが、上記のイメージを持っておけば、皇族系の細菌が尿や便の中から分離されることはないことが想像つくと思います。このような菌の特徴を知ることは、耐性菌の理解にも役立ちます。環境から分離されないということは、院内感染を起こすことはほとんどないということです。皇族系においても耐性菌が近年話題になってはいますが、現在のところ、「大流行して困る」というほどの問題にはなっていません。菌をキャラクターとしてとらえれば、皇族系の菌が感染対策の対象にはなりにくいことが納得できるかと思います。

■適応能力が高い庶民系

現在、院内感染で最も問題となっているのは、庶民系です。庶民系の代表格は、黄色ブドウ球菌、大腸菌やクレブシエラなどの腸内細菌目と呼ばれる細菌です(図3)。なんでもよく食べる、つまり、あまり培地を選ばずに、いわゆる普通寒天培地で健やかに発育します。

図3. 庶民系の細菌たち
庶民系細菌の特徴は、なんといっても質素でタフ。ほぼどんなところでも生きられるので、院内感染しやすい細菌です。

このように、庶民系は質素であるがゆえに、環境中でもたくましく生きることができます。前述の皇族系との大きな違いですね。例えば、黄色ブドウ球菌は、皮膚の表面からよく分離されますが、テーブルの表面等、食事や水がない場所でも数日~数週間は生きられます。一方、腸内細菌目は文字通り腸内に生息していますが、屋外でも比較的長く生きることができます。
元々、皮膚や腸内の常在菌である、ということは、原住民であるとも言えます。原住民は、宿主と共生していることが多いので、通常は病気を起こしません。しかし、傷口から誤って侵入したり、膀胱の中に紛れ込んだりして病気を起こすことがあります。もし病気を起こしても、以前なら抗菌薬を使って治療することが比較的容易でした。
ところが、近年、庶民系の耐性菌が増えています。やっかいなことに、通常は病気を起こしませんから、耐性菌の出現に気づかれにくいということがあります。また、庶民系は環境を介して伝播することがあります。宿主に定着しやすいこと、そして、環境中でも生き残りやすいという庶民系の適応能力の高さが、院内感染で問題となる最大の理由です。

■起こすな危険!モンスター

モンスターが皆さんの目の前に現れたら大騒ぎですよね。ですから、本来はレアキャラであるべき細菌です。モンスター系の代表格は、緑膿菌とアシネトバクターです(図4)。

図4. モンスター系細菌の代表である緑膿菌とアシネトバクター
本来レアキャラであるべき細菌ですが、医療の高度化によりちょくちょく出現するようになりました。抗菌薬が効きにくいことが最大の問題です。

本来、大人しく環境中に住み着いており、体の中でうじゃうじゃと増殖する細菌ではありません。院内感染が起こったときに、環境調査を行うと時々検出されます。特に、緑膿菌は水周りを好んで生息します。アシネトバクターは乾燥にも強く、乾いた場所からも分離されやすいといわれています。飢餓にも強いので、ほとんど栄養がないような苛酷な環境中で、静かに暮らすことができます。また、元々環境中でカビなどが産生する抗菌物質に抵抗するため、初めから抗菌薬に耐性を示すことが知られています。これを1次耐性もしくは自然耐性と呼びます。そのため、健康な人に病気を起こすことはほとんどありませんが、一旦病気を起こすと治療しにくいという非常に厄介な細菌です。できるだけ起こしたくないですが、ひとたび病気を起こして治療が必要な場合には、いわゆる、「広域抗菌薬」を使う場面が増えます。想像してみてください。「モンスターが現れましたので、今から爆弾落とします」と町中に落とされたらたまりませんね。でも、広域抗菌薬を使うというのは実はそういうことなのです。原住民であるブドウ球菌や腸内細菌を犠牲にして治療をしています。さらに、耐性を獲得しやすいという性質もあり、広域抗菌薬すら効かなくなる可能性を秘めた細菌です。

■ガホーケイ星からやってきた異星人

ガホーケイ星人は、「芽胞」を「形成」する細菌です。後付けではありますが、ダジャレだけではなく、意外と異星人らしい共通点を持っています。強烈な毒素をばらまくという点です。代表選手は、ボツリヌス菌、破傷風菌、ウェルシュ菌、ディフィシル菌、炭疽菌、セレウス菌、枯草菌(図5)。前4者がクロストリジウム属、残り3者がバチルス属です。納豆を作る細菌は枯草菌の一種でバチルス属です。私は納豆を好んで食べますが、嫌いな人から見れば納豆菌も猛毒を撒いているように思えることでしょう。どちらの属もグラム陽性桿菌で、前者は酸素があると育たない嫌気性という性質も持ちます。

図5. 異星人系細菌は、2族、クロストリジウム族*とバチルス族*
芽胞を形成する「ガホーケイ星人」。両族に共通して猛毒をばらまきます。
*キャラクターにするため、本来「属」とすべきところを「族」としています。

■その他のキャラ

武闘派のビブリ 族(Vibrio属)、海賊系、裸族があります(図6)。ちなみに、ビブリ男コレラの得意技はスイヨー蹴り(水様下痢)です。

図6. その他、キャラがたっている細菌たち
スイヨー蹴り(水様下痢)のビブリ男コレラは武闘派。輸入真菌症の原因真菌で海賊系、そして、語尾に「ラ」がつく裸族です。

■グラム染色も語呂合わせ

グラム染色についても簡単に説明しておきます。ご存知の方も、教育をされる際の参考になればと思います。
ご存知の通り、グラム染色は、青と赤に染め分ける染色法です。青く染まると陽性、赤く染まると陰性です。色のみで分けると2つにしか分けられませんが、丸いもの(球菌、coccus)と細長いもの(桿菌、rod)に分けることで、2×2の4つに分類することができます(図7)。青くて丸い菌は、グラム陽性球菌gram positive coccusでGPC、その他も同様に、グラム陽性桿菌gram positive rod、グラム陰性球菌gram negative coccus、グラム陰性桿菌gram negative rod は、それぞれGPR、GNC、GNRと略します。
ここだけの話ですが、学生の頃、青と赤のどちらが陽性でどちらが陰性かよく忘れていました。言い訳をすると、覚えることがあまりにも多かったせいですが、そんな私が細菌学を教えているのが不思議です。そこで編み出したのが、得意のオヤジギャグ、語呂合わせです。「赤は陰性」と10回唱えながら、図をご覧ください。もうわかりましたね。そう、「赤ワイン(せい)」です(図7)。検査部の方から聞いた話ですが、検査部を回っている学生が「赤は陰性、赤は陰性、…」とつぶやいているそうです。どうやら学生の間ではしっかり定着しているようです。

図7. グラム染色による細菌の分類
迷った時は、赤は陰性と10回唱えてみましょう。そう、見えてきました「赤ワイン」。