丸石製薬株式会社

このウェブサイトは、国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師等)を対象に、医療用医薬品等を適正にご使用いただくための情報を提供しています。
一般の方および国外の医療関係者に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。

  • このサイトをご利用の前に必ずご利用条件をお読みください。

あなたは医療関係者ですか?

医療関係者向情報サイト 医療ナレッジ 消毒NAVI 車椅子

現場でお困りの消毒方法について、尾家 重治先生(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部 教授)に解説していただきました。
なお、器具・物品や消毒剤等の取り扱いにつきましては、各製品の取扱説明書等をご確認ください。

車椅子の消毒方法

車椅子のハンドリムのMRSA汚染を調べたところ、20台中11台(55%)が10~104生菌数/ハンドリムのMRSA汚染を受けていた1)
すなわち、車椅子は微生物汚染を受けやすい。したがって、車椅子のハンドリムや押手などの消毒は、使用のつどまたは患者ごとに行うのが望ましい。消毒用エタノール、アルコール・界面活性剤含浸ワイプで清拭する。

また、糞便などで汚染を受けた車椅子に対しては、洗浄後に消毒を行う必要がある。
トイレブラシなどを用いて洗浄し、日陰干しした後に消毒用エタノールや、アルコール・界面活性剤含浸ワイプで清拭する。
なお、糞便汚染の際には、トイレブラシのブラシ部分が使い捨ての製品の使用が望ましい(図1)。

一方、Clostridioides difficile(ディフィシル菌)感染患者が用いた車椅子を調べたところ、その座シートからは本菌の芽胞が検出されやすいことが判明した。
したがって、この際の汚染された座シートの消毒では、アルコールの代わりに0.1%(1,000ppm)~1.0%(10,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムを選択する。アルコ―ルは芽胞には無効だからである。

この他、車椅子洗浄乾燥装置が発売されているので、この装置を利用する方法もある。

図1. ブラシ部分が使い捨てのトイレブラシ

参考資料

  • 1) Hakuno H, Oie S, Furukawa H. Contamination of wheelchairs by Staphylococcus aureus. J Hosp Adm. 2: 55-60, 2013.