丸石製薬株式会社

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現場でお困りの消毒方法について、尾家 重治先生(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部 教授)に解説していただきました。
なお、器具・物品や消毒剤等の取り扱いにつきましては、各製品の取扱説明書等をご確認ください。

手術時手指の消毒方法

手術時の手指衛生は、一時的に付着した微生物(一過性菌)の除去・殺滅のみならず、常在菌の減少も目的として行う。なぜなら、手術中に手袋が破損した場合での手術野汚染を最小限にとどめるために、常在菌も減少させておく必要があるからである。
手術時の手指衛生は、洗浄剤含有の消毒薬を使用する方法(スクラブ法)と、アルコール性手指消毒薬を使用するウォーターレス法(ラビング法)とがある。
これらの方法のうち、わが国では前者のスクラブ法が従来から汎用されてきた。この理由は、わが国での術前手指消毒法が、米国方式であるスクラブ法で行われてきたことに由来している。しかし、ヨーロッパ方式であるウォーターレス法は、スクラブ法に勝るとも劣らない消毒効果を示すのみならず、手荒れが生じにくいことやコスト安になることが判明している1-3)。また、手術時手指(SSI)の防止においても、ウォーターレス法はスクラブ法と同等の効果を示すこともわかっている4)。このため、わが国でもウォーターレス法が主流になってきた。
ウォーターレス法で用いるアルコール性手指消毒薬には、0.5~1%クロルヘキシジングルコン酸塩含有の消毒用エタノール(0.5~1%クロルヘキシジンエタノール)が適している。0.5~1%クロルヘキシジンエタノールではアルコールの即時効果のみならずクロルヘキシジンの持続効果が期待できる5-7)
アルコール性手指消毒薬による術前の手指消毒法は、次の手順で行う(図)。
①流水と石けんでの手洗い
②ペーパータオルで乾燥
③アルコール性手指消毒薬の適用と乾燥(計2~3回)

図.ウォーターレス法での術前手指消毒

「ウォーターレス法による手術時手指消毒法」はこちら新しいタブでページが開きます

引用文献

  • 1) Rotter ML: Arguments for alcoholic hand disinfection. J Hosp Infect, 48: S4-S8, 2001.
  • 2) Bryce EA, et al: An in-use evaluation of an alcohol-based pre-surgical hand disinfectant. Infect Control Hosp Epidemiol, 22: 635-639, 2001.
  • 3) Larson EL, et al: Comparison of different regimens for surgical hand preparation. AORN J, 73: 417-432, 2001.
  • 4) Weight CJ, et al: Avagard hand antisepsis vs. traditional scrub in 3600 pediatric urologic procedures. Urology, 76: 15-17, 2010.
  • 5) Linda KM, et al: Prospective, randomized in vivo comparison of a dual-active waterless antiseptic versus two alcohol-only waterless antiseptics for surgical hand antisepsis. Am J Infect Control, 40: 155-159, 2012.
  • 6) 𡈽家大輔, 他: 術前の手指消毒におけるウォーターレス法の消毒効果およびコストの評価. 医療マネジメント, 13: 70-74, 2012.
  • 7) 奥西淳二, 他: Waterless手術時手指消毒法の有用性. 環境感染, 25: 217-222, 2010.【IC19374】