消毒NAVI「在宅酸素」
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現場でお困りの消毒方法について、尾家 重治先生(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部 教授)に解説していただきました。
なお、器具・物品や消毒剤等の取り扱いにつきましては、各製品の取扱説明書等をご確認ください。
在宅酸素の消毒方法
バブル加湿器
バブル加湿器(酸素湿潤器)はネブライザーと異なり、原理的には小さい水滴(エアロゾル)を発生しません。したがって、バブル加湿器内の水が細菌汚染を受けても、原理的には細菌を噴出しません。しかし、実際にバブル加湿器からの空中浮遊菌を測定すると、バブル加湿器内の水の汚染菌が存在します。この原因として、エアロゾルがバブル加湿時に飛び散るためと推定されます。また実際に、バブル加湿器が原因の感染事例があります1,2)。
したがって、バブル加湿器は7日間ごとなどに、洗浄後に60℃以上で5分間などの熱水消毒を行って、その後に食器乾燥機などで乾燥させてください。また、加湿水には滅菌精製水(注射用蒸留水)を用いてください。
なお、使い捨てのバブル加湿器の使用が勧められます。使い捨てのバブル加湿器は1か月程度の繰り返し使用が可能です3,4)。
バブルジェット加湿器
バブルとジェットが切り替え可能な機種では、24時間ごとの消毒が必要になります。60~65℃・5分間や70℃・1分間などの熱水に浸漬して、その後に食器乾燥機で乾燥させておきます5)。ここで、熱水浸漬の代わりにウォッシャーディスインフェクタや家庭用食器洗浄機を利用する方法も有用です。また、金属部分のないバブルジェットネブライザーに対しては、0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムへの1時間浸漬法も適しています6)。
参考資料
- 1) Thomas ET, et al: Epidemiology of Pseudomonas aeruginosa in a general hospital: a four-year study. J Clin Microbiol, 2: 397-402, 1975
- 2) Moiraghi A, et al: Nosocomial legionellosis associated with use of oxygen bubble humidifiers and underwater chest drains. J Hosp Infect, 10: 47-50, 1987
- 3) Castel O, et al: Evaluation of closed sterile prefilled humidification. J Hosp Infect, 17: 53-59, 1991
- 4) Kobayashi N, et al: safety of prolonged and multipatient use of prefilled disposable oxygen humidifier bottles. Infect Control Hosp Epidemiol, 27: 320-322, 2006
- 5) 足立タツ子,他: ジェット式ネブライザーの微生物汚染とその消毒法. Chemotherapy, 41: 195-199, 1993【IC01074】
- 6) 河口忠夫,他: ジェット式ネブライザーの微生物汚染とその対策. 環境感染, 23: 221-223, 2008【IC15989】