消毒NAVI「フェイスガード（シールド）」
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フェイスガード（シールド）
現場でお困りの消毒方法について、尾家 重治先生（山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部 教授）に解説していただきました。
なお、器具・物品や消毒剤等の取り扱いにつきましては、各製品の取扱説明書等をご確認ください。
フェイスガード（シールド）の消毒方法
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザウイルスなどによる感染は、飛沫の吸入のみならず眼への飛入でも生じ得る1-4)。また、C型肝炎ウイルスやHIVによる感染は、針刺しなどのみならず眼への飛入などでも生じる（イラスト）5,6)。したがって、マスクや手袋とともにフェイスガードは重要な個人防護具（PPE）といえる。
フェイスガードは使い捨てとするか、またはアルコール（消毒用エタノールなど）で清拭する。
使用後のフェイスガードの微生物汚染
表には、入院病棟において尿廃棄や吸引時などに用いたフェイスガードの外表面の微生物汚染について示した（筆者データ）。
20サンプル中12サンプル（60％）が120～6,000生菌数/フェイスガードの汚染を受けており、汚染菌のなかには大腸菌やMRSAも検出された。
したがって、フェイスガードの着用は新型コロナウイルスやインフルエンザウイルス対策のみならず、尿廃棄、陰部洗浄および吸引時などでも必須である。（表1）
表1. 使用後のフェイスガードの微生物汚染＊
| サンプルNo. | 菌量 / フェイスガード | ||
|---|---|---|---|
| 一般細菌 | 大腸菌 | MRSA | |
| 1 | 6,000 | 100 | |
| 2 | 1,020 | ||
| 3 | 820 | 20 | 20 |
| 4 | 820 | ||
| 5 | 660 | ||
| 6 | 620 | ||
| 7 | 200 | ||
| 8 | 200 | ||
| 9 | 200 | ||
| 10 | 160 | ||
| 11 | 140 | ||
| 12 | 120 | 40 | |
| 13～20 | ＜100 | ||
- ＊尿破棄、陰部洗浄および吸引時などに使用したフェイスガードについて調べた。
未使用の製品の一般細菌は100生菌数未満であった。
参考資料
- 1) WHO: Global Alert and Response (GAR); Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – update. 26 April 2014.
https://www.who.int/csr/don/2014_04_26_mers/en/ - 2) Bischoff WE, Reid T, Russell GB, et al. Transocular entry of seasonal influenza-attenuated virus aerosols and the efficacy of n95 respirators, surgical masks, and eye protection in humans. J Infect Dis. 204: 193-199, 2011.
- 3) Gralton J, McLaws M-L. Protecting healthcare workers from pandemic influenza: N95 or surgical masks? Crit Care Med. 38: 657-667, 2010.
- 4) Stuart RL, Cheng AC, Marshall CL, et al. ASID (HICSIG) position statement: infection control guidelines for patients with influenza-like illnesses, including pandemic (H1N1) influenza 2009, in Australian health care facilities. Med J Aust. 191: 454-458.
- 5) Sartori M, LaTerra G, Aglietta M, et al. Transmission of hepatitis C via blood splash into conjunctiva. Scand J Infect Dis. 25: 270-271, 1993.
- 6) Beltrami EM, Kozak A, Williams LT, et al. Transmission of HIV and hepatitis C virus from a nursing home patient to a health care worker. Am J Infect Control. 31: 168-175, 2003.