消毒NAVI「自己導尿カテーテル」
医療関係者向情報サイト 医療ナレッジ 消毒NAVI 自己導尿カテーテル
現場でお困りの消毒方法について、尾家 重治先生(山陽小野田市立 山口東京理科大学 薬学部 教授)に解説していただきました。
なお、器具・物品や消毒剤等の取り扱いにつきましては、各製品の取扱説明書等をご確認ください。
自己導尿カテーテルの消毒方法
使用した自己導尿カテーテルは、水道水で周囲および内部を洗浄後に、カテーテルケースに収納します。また、カテーテルケースは24時間ごとに水道水で洗浄して0.02~0.025%ベンザルコニウム塩化物添加グリセリンを充填します。
間欠的自己導尿を行っている外来患者の計46名を対象に、使用中の自己導尿用カテーテルケース内の0.02%ベンザルコニウム塩化物添加グリセリンの微生物汚染について調べたところ、46サンプル中13サンプル(28.3%)が微生物汚染を受けていました(表1)。汚染菌量は10~108個/mLで,おもな汚染菌はPseudomonas aeruginosa(緑膿菌)やAlcaligenes xylosoxidans(アルカリゲネス菌)でした。
この0.02%ベンザルコニウム塩化物添加グリセリンのおもな汚染原因は、自己導尿用カテーテルケース内での7日~1か月間にわたるくり返し使用でした。グリセリンが水や尿で希釈されたために汚染が生じたと推定されます。また、汚染した0.02%ベンザルコニウム塩化物添加グリセリンを用いていた13名中5名(38%)で、これらの汚染菌と患者尿からの分離菌とが一致しました。すなわち、ベンザルコニウム塩化物添加グリセリンが微生物汚染を受けると、感染原因になり得ると推定されます1)。
以上から、自己導尿用カテーテルケース内の0.02~0.025%ベンザルコニウム塩化物添加グリセリンの入れ替えは、24~48時間ごとに行うのが望ましいです1,2)。
参考資料
- 1) Oie S, et al: Microbial contamination of in-use lubricants for non-touch urethral catheters in intermittent self-catheterization. Biol Pharm Bull. 23: 781-783, 2000
- 2) Hakuno H, et al: Microbial Contamination of Disinfectants Used for Intermittent Self-Catheterization. Jpn J Infect Dis, 63: 277-279, 2010