術後の吐き気について
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術後の吐き気について
麻酔を受けられる方へ、術後に起こりやすい合併症の1つである「術後の吐き気」についてご説明いたします。
目次
監修:神奈川県済生会横浜市東部病院 患者支援センター長 谷口 英喜 先生(2022年3月作成)
術後の吐き気とは

術後の吐き気は、医学用語では「術後悪心・嘔吐(Postoperative nausea and vomiting :PONV )」と言い、全身麻酔による手術の後に起こることがあります。
麻酔から覚めた後、痛み止め(鎮痛剤)で痛みは極力減らすことができても、むかつきや吐き気、嘔吐は起こることがあり、発生頻度は3人に1人(30%)程度といわれています。
おおむね、術後1日程度でおさまりますが、2、3日続いたり、手術当日は大丈夫でも翌日に発生する場合もあります。
なかには、術後の痛みよりも辛い思いをされる患者さんもいらっしゃいます。
術後の吐き気を起こしやすい患者さんや手術の種類がわかっています。
どんな人が術後の吐き気を起こしやすいの?

以下のような患者さんは術後の吐き気を起こしやすいと考えられ、とくに3項目以上当てはまると高い確率で発生します。
成人の場合
- 女性
- 50歳以下
- 非喫煙者
- 乗り物酔いしやすい、したことがある
- 過去に術後の吐き気を起こしたことがある
小児の場合
- 3歳以上
- 思春期(8~18歳くらい)の女性
- 乗り物酔いしやすい、したことがある
- 過去に術後の吐き気を起こしたことがある
- 術後の吐き気を起こした家族(親・兄弟)がいる
術後の吐き気が起こるとどうして良くないの?

吐き気や嘔吐はそれだけでも辛い経験ですが、吐き気がおさまるまでは食べられないことも多く、そのため、食事の再開が遅れてしまう場合があります。
さらにベッドから起き上がることや、自分でトイレに行くなどの日常的な生活への復帰が遅れたり、リハビリテーションが必要な方では、訓練の開始が遅れるなど、場合によっては入院期間が長引いてしまうことがあります。
術後の吐き気を防ぐことはできるの?

術後の吐き気が起こりやすいと考えられる場合は、
- 麻酔方法の変更
- 事前に吐き気止めのお薬(制吐剤)を投与する
などの方法で発生率を低くすることができます(100%ではありません)。
術後の吐き気は治せるの?

術後、吐き気が起きた場合、すぐに吐き気止めのお薬(制吐剤)を投与することで治療できます。
気持ちが悪い、吐きそうだという時には、がまんせず、すぐに医師、看護師など、医療従事者に伝えましょう。
ご心配・ご不安な方は

術後の吐き気が起こりやすい場合には、麻酔方法を変更したり、吐き気止めのお薬(制吐剤)を予防のために投与するなどで、発生率を低くすることができます。
過去にご自身やご家族が術後の吐き気を経験されたなど、ご心配・ご不安な場合には、手術の前に主治医の先生や、麻酔科の先生にご相談ください。