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インフルエンザ 概要と感染対策

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概要


1.微生物

症状   インフルエンザウイルスは、オルソミクソウイルス科に属するRNAウイルスで、エンベロープ(脂質の膜)を持つ直径100nm、中間サイズのウイルスです。インフルエンザウイルスは、ウイルス粒子の抗原性の違いから大きくA型、B型、C型に分類され、A型とB型がヒトに流行するインフルエンザの原因になります。
  膜の表面に2種類の突起の糖蛋白ヘマグルチニン(赤血球凝集素、HA:haemagglutinin)とノイラミニダーゼ(NA:neuraminidase)が存在し、H1N1など、その組み合わせにより亜型の分類を行っています。
  また、同じH1N1であってもさらに細かな変異によって抗原性や宿主が異なり、年によって流行するウイルスの型は異なります。尚、2009年に流行した「インフルエンザ(H1N1)2009」は、季節性のインフルエンザとして取り扱うよう厚生労働省より発表されました。



2.感染症

症状  インフルエンザウイルスの流行は、毎年11月下旬頃から12月上旬頃に始まり、翌年の1~3月頃にピークを迎えます。しかし、夏場に流行が見られることもあり、近年では年間を通しての注意が必要となります。潜伏期間は1~3日間と短く、38℃以上の発熱、咳、悪寒、咽頭痛、全身倦怠感、頭痛がみられます。
感染力は強く、多くは軽症のまま回復し、抗インフルエンザウイルス薬の治療も有効とされています。しかし一方で、高齢者や糖尿病や喘息等の基礎疾患がある人を中心に重症化する例や施設内集団感染例が報告されており、注意が必要です。インフルエンザ流行年は人口的に死亡者数が増加(超過死亡)する場合があります。



3.感染経路

感染  感染の多くは、患者のくしゃみ、咳によって気道分泌物に小粒子に含まれて周囲に飛散する飛沫感染と考えられ、比較的大きい粒子は患者からおよそ1~1.5mの距離であれば、直接に周囲の人の呼吸器に侵入します。
  また、閉鎖空間では、空気感染(飛沫核感染)も生じ、感染の拡大(流行)にはこの飛沫核感染の役割が大きいとされます。気道分泌物はさらに罹患者の手指や周囲の環境の高頻度接触面(ドアノブや照明のスイッチなど)を媒介として他の人に接触伝播する危険性もあります。


 

4.消毒剤感受性

  インフルエンザウイルスには消毒用エタノールやイソプロパノールのようなアルコール類、次亜塩素酸ナトリウム、ヨードホールなどのヨウ素系など、中水準以上の消毒剤が有効です。
  低水準消毒剤ではベンザルコニウム塩化物は有効とされていますが、クロルヘキシジングルコン酸塩、両性界面活性剤は十分な効果が期待出来ません。また、ウイルスの感染性は75℃・1分間の加熱によっても失われます。

感染対策


感染防止対策

うがい  インフルエンザの一般的な予防の基本は、日頃からの十分な休養とバランスのとれた栄養の摂取、外出時のマスク着用、帰宅時の手洗い・うがい、流行前のワクチン接種等の方法があります。
  施設内での対策は、ウイルスの施設内への持ち込み防止として患者や職員の健康状態の把握や管理及び一般的な予防、衛生の確保、手洗い、加湿器等の整備などがあります。
  施設内に感染が発生した場合の感染対策のポイントを表に示します。米国疾病管理予防センター(CDC)はインフルエンザについては飛沫予防策を勧めています。また、高病原性鳥インフルエンザや今後懸念される高病原性の新型インフルエンザの感染防止対策としては、更に接触予防策や空気予防策が求められるようになる可能性もあります。
  日本感染症学会では、2012年、インフルエンザ病院内感染対策の考え方として、以下のように提言しています。

  病院や施設におけるインフルエンザ対策はまず、手指衛生の励行、呼吸器衛生/咳エチケット、流行期における不要不急な面会や外出の制限、患者・家族への適切な説明、職員の健康状態の把握と早期対応、職員へのワクチン接種などが重要です。これに関しては、これまでの提言およびガイドラインで述べてきたとおりですが、加えて、内部での流行拡大時における抗インフルエンザ薬の予防投与が重要です。

インフルエンザ施設内感染防止対策のポイント

手指 手洗い手や指先を介した感染もあり、手洗いは重要です。
手に有機物など目に見える汚染の無い場合はアルコール手指消毒剤を使用し、目に見える汚染のある場合は抗菌石鹸での流水下手洗いや通常の手洗い後、擦式消毒を行うことが勧められます。
呼吸器衛生/
咳エチケット
咳などの症状があれば、周囲の人に感染させないような対策として「隔離予防策のガイドライン(CDC)」では下記の「呼吸器衛生/咳エチケット」が勧められています。
咳やくしゃみをするときにはティッシュで口・鼻を覆い、捨てる。(指示を掲示する)
ノンタッチ式ゴミ箱(フットペダル式、開放式)を用意する。
待合室等に使用しやすい場所に擦式消毒剤を設置し、シンクのある所では手洗い用品を配置する。
地域流行時、咳のある患者にマスクをしてもらい、他の人から1m以上離れるよう勧める。
マスク マスク医療従事者のマスク着用については、患者の約1m以内で働くときはマスクを着用します。
患者部屋 患者部屋患者は可能な限り個室での医療提供が望ましく、不可能であれば集団隔離します。
隔離が不可能な場合は、患者間を少なくとも1m以上離し、カーテンで仕切れるならば、必ず閉めておきます。
また、狭い気密な部屋などでは、比較的長くウイルスが浮遊することもあるので、時々換気をします。
空気が乾燥すると咽頭粘膜のウイルス粒子に対する物理的な防御機能が低下し、インフルエンザに罹患しやすくなるため、室内では加湿器などを使い適度な湿度を保つことが必要です。
環境管理 床などは通常の清掃で十分ですが、目に見える呼吸器分泌物(喀痰や唾液など)による汚染がある場合には、消毒が必要です。消毒用エタノール70%イソプロパノールなどのアルコール類、次亜塩素酸ナトリウム(0.02~0.05%)などが勧められます。
感染拡大経路
の遮断
施設内で集団感染が発生した場合には、レクリエーションルームなど多くの人が集まる場所での活動の一時停止を検討することも重要です。
感染対策委員会 感染対策委員会等を中心として、地域の流行状況の把握、施設内の感染リスクの評価や感染対策指針の作成、運用、教育、評価など効率的な対策が望まれます。

参考資料

厚生労働省 ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/index.html
国立感染症研究所 感染症情報センター ホームページ
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/index.html
日本感染症学会提言2012
~インフルエンザ病院内感染対策の考え方について~(高齢者施設を含めて)
http://www.kansensho.or.jp/influenza/pdf/1208_teigen.pdf

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