2022年2月25日にオンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」に適応が追加されました。ここでは適応追加された「術後の消化器症状(悪心、嘔吐)」の内容を中心にオンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」をご紹介いたします。
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「術後の消化器症状(悪心、嘔吐)」
の効能又は効果が追加
成人・小児に
用法及び用量が設定注)
2022年2月25日にオンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」に適応が追加されました。ここでは適応追加された「術後の消化器症状(悪心、嘔吐)」の内容を中心にオンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」をご紹介いたします。
公知申請※を行い、承認を取得したため、オンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」に成人及び小児における「術後の消化器症状(悪心、嘔吐)」の効能又は効果、用法及び用量が追加されました。
※ 公知申請:医薬品(効能追加など)の承認申請において、当該医薬品の有効性や安全性が医学的に公知であるとして、臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく承認申請を行うことができる制度
プレフィルドシリンジ製剤のため薬液吸引不要で、微生物汚染・異物混入の軽減が期待できます。
取り違え防止の工夫として「薬剤名・薬効分類名・注意喚起(緩徐に静注)」をラベルに記載しています。
オンダンセトロン(5-HT3受容体拮抗薬)は、延髄の最後野にあるCTZ(chemoreceptor trigger zone)や求心性迷走神経の5-HT3受容体に作用し、嘔吐を抑制すると考えられています。
準拠添付文書:2022年2月作成(第3版、効能変更)
髙折修二他監訳:グッドマン・ギルマン薬理書(下)
薬物治療の基礎と臨床第12版(廣川書店)2013;1725-1726
オンダンセトロン注は患者背景や術式等を考慮し、術前から術後の適切なタイミングで投与してください。(添付文書 7.用法及び用量に関連する注意)
「公知申請への該当性に係る報告書(事前評価報告書)」では「成人及び小児におけるPONVの予防及び治療に関するオンダンセトロンの有効性は期待できると考える。」とされており、また、用法及び用量の「設定の妥当性について」では「投与タイミングについては、各国の承認内容、診療ガイドラインの記載内容は様々であること、患者背景や手術の状況(麻酔薬の種類、手術時間、術式等)により適切な投与タイミングは異なると考えられることから、投与時期を規定する必要はないと考えた。」とされています。
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書
オンダンセトロン塩酸塩水和物 術後の悪心・嘔吐の予防及び治療
米国PONVガイドライン
2020年に米国PONVガイドラインの改訂版である『Fourth Consensus Guidelines for the Management of Postoperative Nausea and Vomiting』が公開されました。ガイドラインではオンダンセトロンは成人のPONV及び小児のPOV*/PONV予防にエビデンスレベルA1で位置付けられています。
Fourth Consensus Guidelines for the Management of Postoperative Nausea and Vomiting
Gan TJ, et al. Anesth Analg 2020; 131: 411-448.
*POV:postoperative vomiting(術後の嘔吐)
※本邦でのPONVの診療ガイドラインは作成されていません。
オンダンセトロンは、英国で開発された選択的セロトニン(5-HT3)受容体拮抗剤です。本邦では、1994年に成人、1996年に小児に対する「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)」の効能又は効果で承認されています。
オンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」はオンダンセトロン塩酸塩水和物注射液をシリンジに充填したプレフィルドシリンジ製剤(充填済みシリンジ剤)です。
本剤は光製薬株式会社が2006年10月に製造販売承認を取得し、2006年12月より販売されていましたが、2020年6月1日付で丸石製薬株式会社が光製薬株式会社から製造販売承認を承継し、2020年6月24日よりオンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」として販売しています。
術後の悪心・嘔吐(PONV)は、患者にとって非常に大きな苦痛を伴い、術後の回復を遅らせる要因にもなり得ます。
オンダンセトロン注は、欧米等6カ国(米国、英国、独国、仏国、加国及び豪州)において成人のPONVの効能又は効果で承認されており、加国以外の5カ国においては小児についても承認されています。
また、国内外の教科書、海外の診療ガイドラインにおいて、オンダンセトロンは成人及び小児のPONVの予防及び治療における標準治療薬として記載されています*。
このような状況を踏まえ、オンダンセトロンの「術後の悪心・嘔吐の予防及び治療」の適応について、日本小児麻酔学会及び小児治験ネットワークから適応追加の要望書が提出され、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」及び「薬事・食品衛生審議会」で検討、評価されました。
その結果、オンダンセトロンのPONVに対する有効性や安全性が医学薬学上公知であると認められ、オンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」は、臨床試験を実施することなく公知申請注)を行い、2022年2月25日に成人及び小児における「術後の消化器症状(悪心、嘔吐)」に対する「効能又は効果」及び「用法及び用量」が追加承認されました。
*日本麻酔科学会 周術期管理チームテキスト 第3版 2016年
日本麻酔科学会 麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 第3版 2012年
Miller's Anesthesia 9th Ed. 2019年
Fourth Consensus Guidelines for the management of postoperative nausea and vomiting. 2020年
注)公知申請:医薬品(効能追加など)の承認申請において、当該医薬品の有効性や安全性が医学的に公知であるとして、臨床試験の全部または一部を新たに実施することなく承認申請を行うことができる制度
用法及び用量で"緩徐に静脈内投与する"と記載されているが、緩徐に投与する理由は?
急速に静注した場合、めまいを起こすことがあるので、緩徐に静脈内投与することが必要となります。
準拠添付文書:2022年2月作成(第3版)
緩徐に投与する際の投与速度の目安は、どのように考えれば良いでしょうか?
オンダンセトロン注の海外の添付文書では、「30秒以上(望ましくは2~5分)かけて投与する」となっており、30秒以上かけることを目安として下さい。
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書
オンダンセトロン塩酸塩水和物 術後の悪心・嘔吐の予防及び治療
2022年3月25日に「PONV対策の第一歩 オンダンセトロンでエビデンスに追いつこう」と題して長坂 安子 先生(東京女子医科大学・大学院 麻酔科学分野 基幹分野長・教授)にご講演いただきました。
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